皮膚

後天性毳毛性多毛症 Acquired Hypertrichosis Lanuginosa

内臓癌のデルマドロームの1つ.
これまで目立たなかった毛包が、外皮の大部分を覆う、細かい、綿毛状、うぶ毛状の毛を生じる.
後天性毳毛性多毛症は、腫瘍の診断に数年先行してみられる.



女性では大腸癌が最も多く、次いで肺癌乳癌
男性では肺癌が最も多く、次いで大腸癌

診断時には転移していることが多い

51歳の女性が、2ヶ月間の経過で疲労、体重減少、咳嗽を伴う顔面、頸部、上半身の発毛が急速に進行したため皮膚科に来院.喫煙歴は37年であったが,他に関連する病歴はなく,薬も服用していなかった.診察では、顔面、耳、頸部、体幹上部に産毛が観察された。後天性毳毛性多毛症と呼ばれるこの所見は、基礎疾患である癌、内分泌疾患、神経性食欲不振症、または特定の薬剤と関連している可能性がある.PET-CTでは、右鎖骨上窩に結節性の病変が認められ、右肺下葉に12mmの不透明性が認められた。右鎖骨上リンパ節の生検を行い,原発性肺腺癌と診断した.化学療法と放射線療法に続いてダルバルマブによる治療を受けた。治療開始から2ヶ月後には発毛が大幅に鈍化し,咳と体重減少は完全に消失した。

上記はNEJMの症例です.

まとめ
産毛が急速に生えてくる症例では悪性腫瘍(特に大腸癌、肺癌、乳癌)の精査をする

参考文献
Slee PH. Paraneoplastic hypertrichosis lanuginosa acquisita: uncommon or overlooked? Br J Dermatol. 2007;157:1087-92. PMID: 17941940.
Kovitwanichkanont T. Acquired Hypertrichosis Lanuginosa. N Engl J Med. 2020;383:e144. PMID: 33369353.

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guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。